『交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション1』大阪舞台挨拶に京田知己総監督らスタッフ陣が登壇。2作目、3作目の構想を語る

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9月7日、大阪・梅田ブルク7にて舞台挨拶付の『交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション1』完成披露上映会が実施された。
当日は、エウレカ役の名塚佳織さん、総監督の京田知己氏、脚本の佐藤大氏、プロデューサーの南雅彦氏が登壇。大阪では映画上映後の舞台挨拶とあって、エンドロール後の次回作予告を観た直後の興奮冷めやらぬエウレカファンを前に、「エウレカとの“再会”」、「アフレコでのエピソード」「制作にあたっての想い」、さらには「もう1回観て見つけてほしい仕掛け」、「ネタバレトーク」、「2作目、3作目の構想」など、上映後舞台挨拶ならではの、なかなか聞けない話を語った。

登壇者コメント

名塚佳織

 一昨日東京で、上映前に舞台挨拶をさせて頂いたんですけど、今日はその時とは違う緊張感を感じています。
どうだったんだろうという気持ちと、終わった後にみなさんが帰らず残ってくださっていて、ホッとしています。

それだけで今日は十分うれしいです。感想は、人それぞれおありかと思いますが(笑)、最後まで席を立たずに観てくださったことにすごく感謝をしています。
 12年前のTVシリーズ以降も、ちょこちょことエウレカに向き合う瞬間があったのですが、今回映画になるにあたり、当時のエウレカよりも前の部分のエピソードがメインだったので、そういう意味では、もう一度あらためてエウレカに向きなおったといいますか、ずっとシリーズでやっていた徐々に成長していく彼女ではなく、ある意味「1から作る」という感覚でやらせていただきました。

 私たち声優は、アフレコの時に音楽もSEも何も入っていない無音状態で録るので、最終的にどういう曲がのるか全く知らないまま収録が終わり完成形を観るのですが、完成したものを観たとき、(レントン役)の三瓶ちゃんとふたりで「あんな暗いシーンにポップな曲が流れているなんて思わなかったよね」って(笑)。
でも、なんかそのコントラストが、私は好きなんです。暗いシーンだからこそ、なんだかちょっとポップな音楽が流れている…それこそが当時のエウレカの感じ、私の中では帰ってきたなぁという気がしてうれしかったです。

当時、12年前は、その分若かった我々が(笑)、がむしゃらに走って作った作品だったんですけれども、今回あらためて作らせていただいて、「大人の遊び」がいっぱい詰まった作品になったんじゃないかなぁと思っています。
12年たった今だからこそできる「エウレカ」を、これから毎年楽しんでいただけたらと思います。
この勢いを止めないまま作っていきたいと思っていますので、3部作の最後まで見届けてくださるとうれしいです。

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京田知己

今回の作品「ハイエボ1」では、手で絵を描くことに一番こだわりたいと思っていました。今、アニメーションのメカってどうしてもCGになりがちなんですけど、手で描いた方が絶対かっこいいと思っていて、そこを皆さんにも観てもらいたいなぁと思っています。
 (今回登場する)アドロックは、どうしてもあのヒゲ面なので、かっこよく渋い声かなと思ったのですが、性格とかを考えていくと、ああいうヒゲとかも生やしたら威厳が出てくるんじゃないかとか、すごくがんばっているやさしいおじさんにしたいと思ったんです。繊細な気分を持ち合わせながら、最終的にはヒーローになれる人って言ったら
古谷(徹)さんなのかなぁと思いました。

今回、物語としては「3部作」というところで、「2」「3」に向けての、「フリ」という言い方が正しいのかわかりませんが、全部観て楽しめる形の、最初のエピソード、きっかけが全部入っています。なので「説明不足」的なこととか、話が終わっていないようなところとかも、たぶんその後のお話のきっかけになっていますので、ぜひ、3部作を楽しみにしてもらえたらなと思っています。

それから、作品全体を通して、実は色んな仕掛けをしていますので、(それで制作が少し遅れたそう…)
それを観ていただけると、昔の映像じゃなくて、ちゃんと作り直してアップデートしているのがわかって、楽しんでいただけるのではないかと思っています。

佐藤 大

 12年前に、自分ではちゃんと物語を終わらせたつもりだったんです。でも今回、作り直すってお話を南さんからお誘いいただいたときに、オリジナルのメンバー全員揃って合宿なるものをしまして、そのときは監督と、(キャラクターデザインの)吉田さんと私だったんですが、12年ほとんど会っていない、会っていてもすれ違うくらいで話もしていない…だけど久々にお会いしても、エウレカに対するスタンスというのが同じ方向を向いていたので、これはもう1回「交響詩篇」をやるんだったら、逃げずにやるしかないなという感覚で挑みました。

 今回、TVシリーズのときには名前だけと、2回くらい写真が出てるくらいの、一瞬しか出てこないキャラクターをはじめてちゃんと立ち上がらせようというのが、割と最初の気分でもあったので、それをまさか古谷(徹)さんが…。これは、色んな意味で震える瞬間でしたし、僕的にも納得がいくというか、お父さんはこうだ、やっと会えたっていう感じでアドロックがいてよかったと思いました。

 今回、「レントンの物語」をちゃんと描こうということ、とにかく長いシリーズなので、何かにフォーカスしないといろんなものが逆にこぼれ落ちてしまうシリーズだと思っていたので、ここは京田さんとも話して、「レントンという14歳の男の子が、世界と向かい合う直前までの話」にしようと決めました。じゃ、向かい合うべきはなんなのか?
もちろん、エウレカに向かい合ってほしいんですけど、まだ待て!と。これは3部作だぞ(笑)、まだ向かい合っちゃだめだと。まず、お前が向かい合うべきは自分の父親だろうということになったときに、父親のエピソードで一番大きく、今まで描いていない話を描くべきだと、サマー・オブ・ラブを描きました。

 本作は、レントンが父親を超えて未来に向かい合うまでのお話。レントンの頭の中に色んなことが起こったということを皆さんにぶつけてみたので、一度地図のように広げてみて、答え合わせじゃないですけど観ていただけたらと思います。次回作は「こうだといいな」みたいな感じになってるといいなと思い、これから「2」「3」と頑張っていきたいと思っています。

南 雅彦

12年前、この作品は毎日放送さんで放送していまして、毎日放送さんと一緒に作り上げた作品でもありますので、ある意味、「大阪は聖地」みたいな感じです。こうやって、一緒に劇場にいるってことが、本当にうれしいです。

 (アドロックを演じる)古谷さんは今年、声優50周年というレジェンド。子役の時からやられてたんですけど、我々は古谷さんの声を聴きながら育ってきてますし、やはりロボットアニメといえば古谷さん。

ただ、アドロックをどう演じてくれるのかというのは、多少怖くもあり楽しみでもあるという気持ちで、アフレコに臨みました。冒頭のシーンの声を聴いたとき…あの瞬間に、(すごくて)ぞわっとしましたね。
 観ていただいた後の登壇ということなので、我々も緊張しますし、お客さんも、色々と整理しているところで我々がしゃべって、ちょっと落ち着いていないかもしれませんが、帰って、今回の映画を考えてみてもらうと、色んなものが湧いてくると思います。ですので、それを確かめにぜひまた映画館にきていただければ幸いです。

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